2017.03/03 [Fri]
中国はユニコーンの上場優先で改革先送りか

[香港 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国はハイテク業界で「ユニコーン」と呼ばれる巨大スタートアップ企業の上場を容易にすることで、新規株式公開(IPO)改革をまた先延ばしにする新手を編み出すかもしれない。
中国証券監督管理委員会(CSRC)は一部の巨大ベンチャーについて、IPOの承認を速める策を検討している。
確かに馬雲(ジャック・マー)氏率いるアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)系列のアント・フィナンシャルのIPO承認を優先的に進めれば、他のスタートアップ企業もニューヨークや香港などへの上場を取り止め、中国国内での上場が得と判断するかもしれない。
ロイターは24日、優先的取り扱いが検討されている企業として、オンライン決済サービス会社アント・フィナンシャル(直近評価額600億ドル)やオンライン保険の衆安保険といったフィンテック企業、セキュリティーソフトの奇虎360科技が含まれていると報じた。
奇虎360科技は2016年に93億ドル規模の株式非公開化を実施し、ニューヨーク市場での上場を廃止した。
中国の政策担当者らは、登録ベース制度への転換や中国での資金調達を外資に認可する国際委員会の設置など、IPO市場の改革について喧伝する傾向がある。両措置ともいまだに実現していない。
ただ、今回の報道が事実なら、中国の証券取引所にとっては大きな勝利となる可能性がある。
過去1年間の国内市場の時価総額は増えたものの、上場承認を待っている企業は約700社に上り、一部のケースでより高い収益性が要求されることもあり、急成長中のハイテクベンチャーは海外市場での上場検討を余儀なくされている。
中国の携帯電話・アプリメーカー、美図(時価総額55億ドル)(1357.HK)は昨年12月、香港市場に新規上場した。
また昨年ロイターは、関係筋の話として、米アップルが出資する中国の配車サービス最大手、滴滴出行(ディディ・チューシン)が、中国での株式上場の可能性を排除したと伝えた。
しかし、一部の優良ハイテク会社の上場先を香港やニューヨークから変更させることは、純粋な自由化を犠牲にしてのみ成り立つ。
新規上場ペースと価格付けに関する中国当局の事細かな管理は、投機的なバブルを煽ってきた。
それが上場をなんとか果たした数少ないインターネット企業の既にバブル的な時価をさらに押し上げている。
アイコンのデータによると、ハイテク企業の比重が高い新興企業向け市場創業板(チャイネクスト)は株価収益率(PER)は約49倍。
今回の「ユニコーン」誘致は、自ら招いた傷にその場しのぎのばんそうこうを貼る動きが1つ増えただけと言えるだろう。
●背景となるニュース
・ロイターが24日、事情に詳しい6人の関係筋の話として報じたところによると、CSRCは国内の一部大手ハイテク企業について、株式上場承認待ち企業の順番を飛ばし、優先的に手続きを進めることを検討している。
・優先的取り扱いが検討されている企業には、アント・フィナンシャルや衆安保険、奇虎360科技などが含まれている。
・CSRCは26日の記者会見で、ロイターの方向についての確認を差し控えた。
・上海または深セン証券取引所でCSRCの承認を待っている企業は約700社。
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